- 第53回のテーマ「内裏雛の男雛,女雛は左右どっち?-春の風物詩その4-」
第53回のテーマ「内裏雛の男雛,女雛は左右どっち?-春の風物詩その4-」
第53回のテーマ「内裏雛の男雛,女雛は左右どっち?-春の風物詩その4-」
千代紙を 散らかし子らは 雛つくる
ひな人形には
「京雛(きょうびな)」と「関東雛(かんとうびな)」
があるのをご存じでしょうか。
「京雛」は,目が細めのおっとりした目鼻立ちが特徴で,
左側(向かって右)に男雛,右側に女雛が座っています。
「関東雛」は,はっきりめの目鼻立ちが特徴で,
右側(向かって左)に男雛,左側に女雛が座っています。
かつて宮廷では左側が位が高いとされたので(左大臣の方が右大臣より位が高いなど),
京雛では「みかど」が左,「お妃さま」が右の座り方になっています。
関東雛は現代の国際基準に合わせて「右上位」の座り方です。
右上位が浸透したのは大正時代以降といわれています。
もちろん現代ではどちらのひな人形も手に入るので好みで選ぶといいでしょう。
また,並び方も自由にできるものがほとんどです。
雛人形と一緒に飾るための様々なミニチュアサイズの道具類を「雛道具」と呼びます。
雛道具にはたくさんの種類があり,
それぞれにいわれや意味が込められています。
その中に,犬をかたどった不思議な小箱があります。
これは「犬筥(いぬばこ)」という張り子で作られた箱で,
雌雄で一対となっています。
生き物を模したこの品は,
貝桶と共に雛道具の中でも非常に特徴のあるアイテムといえます。
犬は古くから人間を厄災から守ると信じられていたため,
その姿を写すことで魔除けや厄除けの象徴とすることが行なわれていることから,
雛道具の一つにも取り入れられたと考えられます。